南紀 徒然な旅(2019/4/11~13)その1

1日目 東京→熊野市(1/2)

ほんっと久しぶりの5時起き。6時半ごろ家を出て、山手線の人身事故禍に飲まれながらも20分前行動で東京駅到着。朝食のサンドイッチとお昼のお弁当を買って、停車中の「のぞみ15号」に乗り込む。ここのとこ不安定だったので、ちょっと遠くへ行きたかった。

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「のぞみ」は博多に向け、8時10分に東京駅を発車。隣に人が来ると気兼ねしてしまうので、最初の食事はこの程度で軽く。ふだん朝食は食べてないけど、旅に出ると何故かね。

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新横浜で座席が埋まり、予想どおり車内はちょっと窮屈に。東京付近から見えた真っ白な富士山は、近づくにつれ厚い雲に覆われてしまう。それでも空は次第に青さを取り戻し、9時47分名古屋に到着するころにはすっきりと晴れ渡っていた。

14分の待ち合わせで、紀伊勝浦行き「ワイドビュー南紀3号」に乗り換え。名前のとおり窓の大きさを売りにしたこの列車も、30年選手らしく汚れが目立っている。

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名古屋を出た列車は、途中の桑名、四日市鈴鹿、津ほかの各駅でも、ぱらぱらと乗客を増やしていく。事前情報からガラガラと思っていたけれど、中高年の団体客もいて半分程度は埋まっているんじゃなかろうか。

11時も過ぎたところで、東京駅で買っておいた「東海道肉づくし」(1,210円)を開封。焼き鳥、みそかつ、すき焼きの入った贅沢な内容だけど、ちょっと味が濃いめかもしれず。ワインも買っていたのだが、昼食を前に飲み干してしまった(笑

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松坂、多気と過ぎるころからあたりは田園風景になり、それも次第に峠道へと変わっていく。三瀬谷の先で峠を越え、紀伊長島まで駆け下りると、車窓にはようやく熊野灘がその姿を見せる。

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線路は概ね海岸線をトレースしていくが、深く刻まれたリアス式海岸のため、長いトンネルと僅かばかりの平地の風景が繰り返される。途中尾鷲に停車しながら、熊野市到着は13時17分。在来線の旅は楽しいけど、3時間ちょっとの乗車はさすがにお尻が痛くなった(笑

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駅前広場を挟んで向かい側の観光案内所を訪ね、人力ロッカー(笑)に300円で荷物を預ける。ここはレンタサイクルもやっているようで、「徒歩」と伝えると鬼ヶ城と花の巌が入ったマップを渡された。とにかく天気に恵まれたので、今日は日が暮れるまで歩く!

何でローソン?って、まぁ聖地だから…(後述)。

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駅前から伸びる道を北東に向かう。この町で奇異な印象を受けるのは、背後に迫った山々の岩ゴツ感。厳しい地勢に山上から見下ろすような名もない岩に、なんだか視線を感じるようで落ち着かない。

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今回の目的地としてここ熊野市を選んだきっかけは、最近お気に入りの百合作品「徒然日和」のモデルとなったことから。田舎町を舞台に「日常の尊さ」を描いた作品だけど、確かに傾いたアーケードに商店街の寂れっぷりは、日本の縮図と言えなくもない。

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作中の熊野市は4~5年前の風景らしく、現実はよりくたびれてるのが悲しいと言うか…。

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商店街を抜け西郷川を渡ると、山裾の住宅地となり郊外の雰囲気が強まってくる。そんな中に浮いている現代的な標識たちが、松本峠を越える熊野古道の入口を案内している。

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角を左折し階段を上がると、緑の木々に囲まれた石畳の道に繋がっていく。

登り口からしばらくは民家もあって生活道路感が残るが、一旦舗装道に出て再度山道に入るあたりから、深い緑に包まれた古道らしい雰囲気になっていく。道端の傘立ての杖は自由に使えるものの、掴みづらい角材が多かったりするので吟味が必要(笑

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松本峠の標高は135mで、登っても軽く汗をかく程度。その峠付近には三叉路があって、右折すると鬼ヶ城跡、桜並木を通って海岸の景勝地に下りられる。今日はそこまでの予定はないものの、途中の小ピークにある東屋に行きたいので一旦峠道を離れ右に入る。

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現地の案内図上でももはや固有名詞な「東屋」までは、分岐から山道を200m程度の距離。そこから望む南西側の風景は、いきなり熊野市観光のクライマックスと言えるんじゃないだろうか。弓なりに続く白砂の浜が、20km先の新宮まで続いている。

伊勢から険しい地勢を越えてきた古の旅人の目に、この風景はどう映ったのだろう。

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三叉路に引き返そうと振り返ると、これから下る大泊方の風景が垣間見える。石畳、散り残りの桜、砂浜、岩ゴツ…旅はまだ始まったばかり。

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