南紀 徒然な旅(2019/4/11~13)その5

3日目 熊野市→東京(1/2)

7時ごろ起きてみると、窓の外は最終日のご褒美のような青空。手前に亀齢橋、中央の白い建物が大石病院、その奥が駅前にそびえる岩ゴツの要害山。その全てが、優しい空気に包まれているような。

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8時過ぎに食堂に下りて、今日も「日本の朝食」をば。あまり観光客が泊まるホテルではない気もするんだけど、この「ありふれた日常感」が次第に愛おしくなってくるな。

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10時前にチェックアウト。車はホテルの駐車場に置かせてもらって、徒歩で市街地散策というか聖地巡礼(笑 井戸川沿いの桜並木はとうにピークを過ぎたとは言え、まだ淡く風景を彩っている。紀勢本線の橋梁、いちばん右の橋脚が新しいのは、8年前の台風被害の復旧のため。

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熊野市駅を通り過ぎて、市街地のいちばん北を流れる西郷川沿いへ。熊野市の市街地は、3本の川の河口付近の平地が繋がった上に形成されている。普通に田舎街なんだけれど、それでも西の地方は活気があると思う。

片手に「徒然日和」、そんな三日間だった。

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木本高校のあたりまで行って、引き返し。川には小さなトラスの橋がかかって、無造作に横切る鉄道橋に古びた家並み。箱庭感のある風景だけど、鉄道模型とかやってる人はいいんじゃない!?

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聖地巡礼はこれで終わり。残り時間どうしようかと、先ほどの要害山へのアタックを企図するも、頂上への登り口を見つけられず敢え無く断念。数多いアプローチは中腹の廃屋へが殆どで、そこに取りついている姿を見つかったら不審者としか思われない(笑

右手に熊野市駅、左奥にイオン、右手前は廃屋の屋根。

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熊野街道で市街地を抜け、防波堤を越えて海岸へ。熊野灘は、混ざりものがないというか、すごく綺麗な青い海。だけど、外海に面した砂浜にぶつかり砕け散る波は激しく、過去には引き波にさらわれ戻れなくなった事故も少なからずあったとか。

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そんな砂浜に突き出しているのが、「獅子岩」と呼ばれる岩ゴツの山。正直、第一印象は「ひよこ岩」だったんだけど(笑、見る向きで印象が変わるようで、向かいの観光駐車場からだと確かに獅子岩だった。ほんと熊野の旅は、岩に次ぐ岩だ。

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それから、徒歩では少しあるかなと思ったけれど、海岸線をもう少し南下して花窟(はなのいわや)神社へ。ここは伊弉冉尊(いざなみのみこと)の墓所であるとされ(諸説あり)、高さ約45mの巨岩をご神体としているところが特徴になっている。

そしてここで気づく、御朱印帳を車の中に忘れてきた件(笑

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雰囲気のある参道を戻ると、鳥居と駐車場との間が小さな物販スペースになっている。めはり寿しなんかを提供する食堂に名産品を扱う売店もあって心動くものの、昼食は市内に戻りたかったのでここは自重。強い日射しの中を痛めた膝で歩いたので、さすがにちょっと疲れが出たみたい。

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海岸沿いの国道をとぼとぼと(笑)戻り、旧熊野街道にある「おもてなし館」を訪問。「お土産も扱う無料の休憩所」と謳われているけれど、引き戸を開けると数組テーブルが並んだ普通に飲食店の佇まい。3、4組の先客がいたため、促されるままお座敷に上がり独り占め。

窓から差し込む陽射しに、ほっと息をつく。

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セルフサービスと書かれながらも、店員さんが運んできてくれた「めはり寿し定食」(650円)。見た感じお食事系のメニューはそれほど多くなく、ほかには「熊野地鶏&古代米カレー」(700円)が気になったくらいかな。

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しばらく休んだあと熊野市駅に出て、並びにある和菓子屋「うぶた堂」でお土産の調達。「全国観光土産品審査会」で優勝したとか何とかで、店頭には値段もそれなりだけどこだわりのある洒落た商品が並んでいる。これはちょっと、味に期待が高まるね。

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それから駐車場に戻って、放置していた車に乗り込んだところ、すっかり真夏の車内になっていた(笑 エアコンを最大に入れて、まずは先ほどの花窟神社へ。そう、忘れてばかりの御朱印帳、ここで二年ぶりの活躍(笑

そして海岸線の国道を、新宮に向かって南下する。

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熊野川を渡ると、そこは和歌山県新宮市。15時ごろ新宮速玉大社に到着すると、お土産品の紀州みかんに和歌山を感じる。御朱印は神倉神社のものとあわせて…って、これから参拝する時間あるのかな!?(笑

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急きょ訪れることになった神倉神社だけど、ナビにも写らずすっかり道に迷う。そんな折、見上げた電柱に貼られた矢印に気づき、促されるまま住宅地の道路をクネクネ進むと、そこに小さな駐車場をようやく見つける。

そしてこの、残りわずかな時間の中、階段を見上げて途方に暮れる気持ちをわかって(笑

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とっかかりの石段が恐ろしく急で焦ったけれど、拝殿まで上ればそこは風景の開けた特等席。新宮の町並みをこうやって見渡すと、熊野市の市街地って本当に小さいものだったんだなって思う。

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ここ神倉神社は熊野速玉神社の摂社で、標高120mの断崖絶壁の上に建つ。ご神体はゴトビキ岩という巨岩で、花窟神社と同様に岩ゴツ信仰の産物だ。件の階段は538段あるということで、お祭りの際は屈強な男たちがそれを駆け下りるらしいけれど、あれ落ちたらケガじゃ済まないような…。

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時計は16時30分。そろそろこの旅も、纏めの時間になってきた。


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