岩手・遠野 普通の田舎の特別な旅(2014/12/29~2015/1/1)その7(終)

4日目 遠野→東京(2/2)

「めがね橋」ことJR釜石線の宮守川橋梁は、遠野盆地から20kmほど走った旧宮守村の区域にある。数少ない列車をたまたま見かけ、競争(笑)の末「道の駅みやもり」の駐車場から辛うじて撮り鉄した写真がこれ…。

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宮守川の水辺まで階段を下り、川岸のテラスから改めて宮守川橋梁を見上げてみる。1943年に造られた鉄筋コンクリートの5連アーチは、遠野盆地へ向かった上り坂となっており、弧を描く優美な姿は遠くローマのコロッセオのようでもある。

手前には1915年に造られた岩手軽便鉄道時代のレンガ積橋脚が残されており、この旧橋は宮沢賢治銀河鉄道の夜」のモチーフになったと言われている。

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道の駅みやもりは、食品スーパーをはじめ地元ユースも考慮した複合商業施設となっている。その中のレストラン「銀河亭」へ。思えばこの三日間、昼食はずっと道の駅だった。

宮守特産のわさびでいただくそばやラーメンに気を惹かれつつ、結局「ひっつみ定食」900円也をオーダー。殺風景な店内で待つこと数分、想定を上回るどーんとした鉄鍋でそれは登場した…(笑

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「ひっつみ」というのは岩手県北地方の郷土料理で、小麦粉を練って固めたものを「ひっつまんで」汁に投げ入れたもの。「定食」という形ではあるけど、これってうどんをおかずにご飯食べるようなものだよね…(笑

ひっつみ自体は、食べやすさと出汁の絡みを考えた最適な形なのだろう。暖かさと醤油出汁の香りにほっとする、雪国らしい暖かい味だった。

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未だ遠野市内ながら、ここまで来ると盛岡までは50km足らず。この旅最後のルートに、遠野と盛岡をほぼ直線で結ぶ国道396号「遠野街道」を選ぶ。地形図的には山越えの「酷道」を想像したものの、除雪もされた普通の2車線道路に胸をなでおろす…(笑

中宮守駅、紫波ふるさとセンターと刻みながら、16時半の返車予定を気にしつつ走る。北上盆地が近づくにつれ、だいぶ青空が覗くようになってきた。

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紫波ふるさとセンターは農産物等の直売所やレストランを構えた、道の駅に近い施設。その裏手には「乳神様」が小さな祠で祀られている。縁起については割愛するが、「代々の主婦が氏神様として奉仕してきた」という下りは民俗信仰という面で興味深い。

たまには神様側から、俗世間を見上げてみよう。

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どうしても東北道に誘導したいナビとのすれ違いもあって(笑、山あいの国道から西へ折れ北上盆地へと下る。そして穀倉地帯を貫く快走路、県道285号で再び盛岡を目指す。県道の両側には真っ白な大地が広がり、遠景には北上高地の山々がうっすらとそびえる…。

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振り向いてもこんな…。雲の向こうには、奥羽の山々が連なっているはず。

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真っ白な世界。

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元日の陽が傾いてきた…。

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盛岡市街への到着は16時ごろ。返車前にガソリンスタンドを探すも、元日で閉店が早いのか見つからない…。そのうち渋滞につかまり、残り時間が気になった時点で新幹線を一時間あとに変更する。えきねっと予約の利便性を痛感した瞬間(笑

結局、レンタカーは燃料代精算で16時半ちょうどに返車。それから二日ぶり…とは思えない盛岡駅へ。とりあえずは、未練がましく落し物の捜索をしたり…(笑

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17時前に改札を覗くと雪に弱い「こまち」が遅れていて、乗る予定だった「はやぶさ」がまだ発車できないでいた。結果的には間に合ったけど、まぁ一時間ゆっくりしようか。コンコースには曲り家の模型があって、これがこの旅最後の曲り家との出合い(笑

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「遠野」のお土産を探して改札内外をうろうろするも、結局これといったものもなく…。5月にも思ったけど、どうしても岩手ないしは盛岡のお土産になってしまう。

定刻5分前にホームに上がると、すぐに新青森からの「はやぶさ」が入線。でも案の定、秋田から来る「こまち」が遅れ、「はやぶさ・こまち28号」東京行きは7分遅れの17時57分に盛岡を後にする。

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盛岡時点でほぼ満席のグランクラス。いつものように和軽食と赤ワインを頼んでしばらく、運ばれてきた和軽食はお正月限定のスペシャルパッケージ。年跨ぎの旅行で、こういうサプライズと出合えるのは本当に嬉しい。

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そして「和軽食-東京編-」自体もお正月を意識した華やかなものに。お品書きのデザインも正月仕様と芸が細かいが、その内容は…。

キングサーモン塩焼、海老煮、伊達巻、長芋揚、公孫樹さつま芋揚、寿昆布/山くらげ(菊花)/黒豆(金粉)/煮物(大根、人参、蒟蒻、蕗、生麩)/白飯(牛肉と牛蒡煮、グリーンピース

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ただ、帰りの「はやぶさ」の揺れることと言ったら…。GPSで位置を確認しながら、カーブ手前になると瓶とグラスを手で押さえるの繰り返し(笑 往きはすごく快適だったのに、遅れてるから飛ばしてるのか、ちょうど一年前にも同じことがあったような…。

仙台時点で6分遅延も、大宮では1分に縮小。ワインおかわりのあとホットコーヒーとお茶菓子で口直ししつつ、東京到着は定刻の20時4分。折り返しこの時間から、新青森と秋田を目指すというのだからまたすごい。

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一歩東京駅に降り立ったときの感想が…寒い!(笑 雪国から帰ってきたわけだけど、東京には遠野にない「ビル風」という魔が存在する…(笑 

京浜東北線から大井町で東急に乗り換え、20時40分ごろに帰宅。

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お土産はこんな…。ひっつみは自宅用、「かもめの玉子」と「かっぱの休日」は合わせ技で遠野とわかるかなと。そして「黄金かもめの玉子」は高価(笑)なため、自分用含め2個だけで…。後に足りなくなって、物産館(東銀座)に買いに行ったのは内緒だ(笑

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あとはこれ。3度目の訪問にして通算5泊の「あえりあ遠野」、そのオリジナルバッジ。上段に座敷わらし、天狗、河童、下段にめがね橋を配したなかなか好ましいデザインだと思う。

もうすっかり、岩手・遠野に恋してしまったらしい。


この旅の記録