遠野 落穂拾いの旅(2016/11/11~13)その6(終)

3日目 遠野→東京(2/2)

この旅最後の落穂拾いは、昼食に選んだ「お食事処 伊藤家」。「満席」の札が出ていて身構えるも、ちょうど入替え時で待たずに席に案内された。観光客はあまり見かけなかったから、地元利用が多いのかな。

江戸時代の住宅を移築したものというこの店だけれど、内外装とも綺麗に整備されておりそれほど風情はない。ひっつみを食べると決めていたけれど、一応メニューを開くと…。

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あ、数量限定「ジンギスカン定食」(笑 限定に弱いということで悩みに悩むも、最後は初志貫徹で「ひっつみ定食」(1,250円)をオーダー。遠野産ヤマメ付きというのが、ジンギスカンを凌駕した大きな要因(笑

遠野のひっつみはほどよく肉厚だけど歯切れがよく、濃厚な鶏出汁はワンタンスープを想起させる。これがさらに北へ行くと、カニ出汁のあっさりとしたものに変わるそう。

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ただもう一味、古建築ならでは、或いは遠野ならではの演出が欲しかった気もするなぁ。

昼食を終え「伊藤家」を出たころには、帰りの列車の出発まであと1時間に迫っていた。遠野の旅はやっぱり、もう一度あの山に上って締め括りとしよう。

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遠野盆地南部の高台にあった鍋倉城は、1500年代末期に阿曽沼氏が開城した横田城が起源とされる。その後南部藩の手に渡り、1600年代初頭の改築を期に鍋倉城と改められた。

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明治維新を経た1872年に廃城となり、建築物は失われているが、本丸、二の丸、三の丸をはじめ当時の地形はよく留められている。市街地の碁盤目状の区画割には、築城ととにも商業地を整備した往時の面影が残る。

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山頂付近は木が生い茂り、すっきり見渡せるポイントは案外少ないんだけど…。

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山を下り、遠野駅を目指して歩く。

駅前の通りには古びた看板建築が並んでいるものの、商売をしていると思しきはほんの一握り。国道バイパス沿いに移転した店もあるようで、自動車社会の進展と中心市街地の空洞化は、日本のどの地方でも同じ構図だ。

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ロッカーから荷物を回収し、「旅の蔵」と駅売店で慌ただしくお土産を購入。ほどなくして盛岡行き快速「はまゆり6号」が、特徴ある人道橋をくぐってやってきた。

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15時9分、列車は遠野の駅を後にする。

時期によっては満席となる指定席の、今日の乗車率は半分を切る程度。さっそく「旅の蔵」で買った遠野どぶろく「河童の舞」と、名産の山ぶどうジュースでプチ打上げにする。

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列車は「遠野風の丘」「宮守の橋梁」と、いつか訪れた風景を車窓に映し走る。所要50分ほどの新花巻で大半の乗客を降ろすと、身軽になった列車は夕暮れのみちのく路にラストスパートをかける。盛岡到着は16時40分、まだこんな時間なのに秋の日は釣瓶落としだ。

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盛岡では新幹線を1本遅らせ、構内の売店でお土産を捜索。ここまで来ると遠野の物産はもはやなく…というか、現地でも遠野のモノってあんまり売っていないのだ。「かもめの玉子」の品揃えは豊富、一方「いわてまり」はどこに消えたんだ。

時刻前にホームに上がると、入線済みの「はやぶさ」が「こまち」の到着を待っていた。大勢のギャラリーが集まる、盛岡駅定番の一大イベント。

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はやぶさ・こまち62号」は17時16分、盛岡駅のホームを滑り出した。

久しぶりのグランクラス。発車するとすぐ、アテンダントが軽食とドリンクのオーダーを取りにくる。和軽食「東北・北海道編」と、いつもの赤ワイン。写真はぶれてるけど、けっこう揺れるから難しいんだよ…。

牛タン入りつくね、カニ風味さつま揚、野菜入り玉子焼/ハタハタ南蛮漬/青菜のお浸し/煮物(野菜入り豆腐寄せ、舞茸、牛蒡、インゲン)/季節御飯

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さらに赤ワインのおかわりと、お茶菓子のパウンドケーキをオーダー。昨夜から日本酒→どぶろく→ワインの飲み合わせになっているが大丈夫だろうか(笑 

仙台で満員の乗客を乗せ、車内はなんだか騒がしくなってきた。お口直しのコーヒーを頼みつつ、深くシートを倒し体を休める。小さな窓からは僅かな街灯りすら満足に見えず、ゴーという低い音と小刻みな振動で、この「箱」が動いていることを微かに認識する。

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はやぶさ」は大宮に停車すると、ここまでの飛ばしっぷりが嘘のように市街地をのんびりと上っていく。上野の手前でアテンダントの挨拶があって、東京駅22番線到着は19時32分。新青森からの長旅を終えた「はやぶさ」が、ついに終着駅に舞い降りた。

とは言えここから家まで、まだ1時間以上かかるんだけど(笑

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基本、遠野のお土産は困る。「明けがらす」じゃあ地味すぎるし、でもそれを除くと「遠野らしい」と思えるものがないのだ。結局「岩手」土産のかもめの玉子各種に、ひっつみはむしろ「はっと」に近い平打ちしかなく。あとはせめての、カッパグッズとか。

日記を書いているとまだ、「落穂拾い漏れ」が結構あることに気付く。でも落穂拾いって元々そういうものだし、これでまた、遠野を訪れる理由ができたということで。


タイムスケジュール(3日目)
8:55~9:25 朝食「銀杏」
10:15~10:30 宿泊先→遠野駅
10:35~10:45 遠野駅→とおの物語の館
11:00~11:25 昔話体験
12:45~12:50 とおの物語の館→城下町資料館
13:05~13:10 城下町資料館→お食事処 伊藤家
14:05~14:15 お食事処 伊藤家→鍋倉公園
14:30~14:45 鍋倉公園→遠野駅
15:09~16:40 遠野→盛岡「はまゆり6号」
17:16~19:32 盛岡→東京「はやぶさ・こまち62号」


この旅の記録


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