富岡製糸場 夏休消化日帰り旅(2020/9/30)

夏休消化の旅々その2。

いつもよりちょっと遅めに家を出て、上野駅到着は9時40分。高崎に止まる新幹線まで40分も待つというのは意外、本数少ないんだなぁ。上野駅はそこら中にパンダが溢れていて、思わず「東京ばな奈パンダ」をここで衝動買い(笑

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10時22分発の「とき315号」に乗車、長い乗車じゃないので上野駅で買った「鮭はらこ弁当」(1,200円)を速やかに開封する。イクラの粒がプチプチした質の高い一品、この手のお弁当はほんとそのあたりで差がつくから。

平日のこの時間からアルコール入るのは、休暇の醍醐味だねぇ。

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高崎到着は11時5分。駅ビルから階段を降りて、上信電鉄の乗り場は薄暗い通路を歩いた先にある。改札手前の券売機で「富岡製糸場見学往復乗車券」(2,200円)を購入、バラで買うと2,640円だから、割引率はけっこう大きい。

わりと高崎には来てたから、上信電車も慣れたものかなぁ。しるくさんのボードも相変わらず元気。

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下仁田行きの2両編成は、1両あたり20人ばかりを乗せて11時23分高崎駅を後にする。烏川を渡ると車窓は田園地帯が増えるけれど、駅近くを中心に市街地が続いていく印象。地方私鉄らしく、電車はガタガタと長閑に揺れていく。

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上州富岡までは40分ほどの道のり。降車客は5人ぐらいはいたものの、製糸場に用があるのは自分だけのよう。見学切符を見せると、道順と帰りの時刻表が入った紙片を渡される。想定外の日差しの下、地図は見ないで適当に歩いていく。

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富岡製糸場を訪れるのは三回目で、自分でもそれなりにリピーターだと思う。観光地としての整備は来るたびに進み、道順を示すペイントが足元にされていたりして、初見でも地図なしで辿り着けるかもしれない。

ペイントは表通りばかりではなくて、こんな裏路地に案内されたり…。

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製糸場までは15分程度の道のり。正門前でアルコール消毒と検温をして、切符の真ん中にスタンプを押され入場。どこ行ってもそうだけど、チケットを手許に用意したところで消毒の不意打ちが来るとまごまごする(笑

旅人を最初にお迎えしてくれるのは、ここ東置繭所。

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順路どおり、東置繭所の展示室から。中にあるお土産屋に、でっかいカイコのぬいぐるみが合ってびびる(笑 小学校時代のトラウマがねぇ。

製糸業と工場について大掴みできるように工夫された展示室の中でも、操業当時?の場内の模型が毎度のお気に入り。ここにある建物が増築はされども、現在も雰囲気を変えることなく見れちゃうというのがすごい。

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置繭所の南にある繰糸所は、機械萌えでなくても溜息が出るような壮観さ。カイコの繭という生物的なものから、この機械を通して糸という製品を作り上げることが神秘的で不思議で…。この工場の魅力っていうのは多分にそのあたりにある。

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さっきの模型にもある、首長館(ブリュナ館)。外国人技術者の居所として用意された建物は、以降は教育施設に転用されるなどして内部は大分手が加わっているらしい。工場だけじゃなくて、こういうところも内部見学したいよね。

カレンダー写真撮りたくてこひつじ連れてきたけれど、ここは全体的に日の角度と建物との相性が悪くフィギュア撮影はやりにくい。

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工場の南端は、鏑川へと落ちる断崖になっている。1872年の開設の際にこの地を選定したのは、周辺で養蚕業が盛んだったのが一つの理由だけれど、鉄道も自動車もなかった当時の「周辺」というは、それなりの時間距離があっただろう。

上信電鉄が開業したのは、25年が経過した1897年のことである。

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浅間寮と妙義寮は1940年になってからの建物だけれど、適度なノスタルジーがあって個人的にはすごく好きなところ。ただ遠目に見ても傷んでいるのがわかるほどで、そのためかこれ以上接近する望みは叶わない。

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1896年に建てられた榛名寮も、内部への立ち入りは拒まれている。表にある説明書きには、映画俳優のポスターや旅行土産のペナントが張られたまま残っているとか記述があるけれど…いやほんと、工場以外の建物も公開してほしい。

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前回、三年前訪れた際にはシートに覆われていた西繭置所。すっかり綺麗になって見学できるかと思いきや…なんと10月3日から開放だと! あと3日!(笑 いつもの無計画っぷりが出てしまったけれど、また来ればいいかと普通に思う。

ビジターセンターのような機能の施設になるようで、ちょっと楽しみだ。

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場内の建物は順々に修復工事を受けているようで、まるで群馬のサクラダ=ファミリア(笑 修復と言っても全体をばらし、補強しながら組み直す大変な工事である一方、それは建て替えてるのも同じでは?と、素朴な疑問も持ってしまう(笑

天気の安定しない日が続いていたけれど、今日は夏が帰ってきたみたいだ。

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14時半過ぎといい時間になったので、傾き始めた日差しの中を駅へと戻ることにする。製糸場正門近くにあった、長らく発掘作業が行われていた長屋風の建物。こちらはすっかり綺麗になって、案内所的なものに変わったみたい。

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表通りだと沿道の客引きが煩わしいので、すぐに裏道へと避難(笑 駅近くには倉庫をリニューアルした県立の「世界遺産センター」ができていて、また訪れた際の楽しみが増えたというところ。今日は別に、行きたいところがあるので。

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駅で180円の乗車券を買って、15時5分発の下仁田行きで3駅ほど下る。

上州一ノ宮駅の古びた駅舎を出て、駅前通りから国道を渡ってしばらく歩く。すると、右手の尾根に向かって放たれたような上り坂の直線路が現れる。中腹の鳥居からは階段となり、登り切るとそこにはもう一つ立派な鳥居が。

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上州の一ノ宮、貫前神社の本殿はそこから階段を下ったところにある。

記録上は西暦800年代に起源を持つというこの神社、現在の建物は1,600年代に徳川の手により建造されたもので、本殿を中心に豪華絢爛な装飾が施される。しかし北側斜面に位置する境内はこの時間、日が差さず既に夕闇の中にある。

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お参りして御朱印を受けてから、階段で再び尾根へと上がる。そこから見渡す里の風景は、長い時間をかけて作り上げてきた人の営みそのもので。黄色に色づいた街並みが、今日という一日を終わろうとしている。

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尾根を下りて国道を渡り、駅に戻ったのは16時前。古い洋館風な駅舎の年代は不明らしいけど、広々とした駅前通りとあわせ鉄道が賑やかだった時代を偲ばせる。出入口に掲げられた社紋は、この地における鉄道の誇りを感じさせる。

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待合室に自動券売機はなく、窓口に声をかけると出てきたのは硬券の乗車券。構内踏切を渡ってベンチに腰掛けると、気分はすっかり旅モード。

上信電鉄は1993年に並行する上信越自動車道が開通し、利用者が激減した。国鉄崩れの三セク線と比べると沿線環境は恵まれた方だとは思うけれど、公的資金を投入しながらも輸送人員はようやく下げ止まり程度の状態だ。

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16時15分発の高崎行きは、JR両毛線のお下がりの電車でやってきた。夕方とあって、車内は帰宅する高校生達でそれでも座れる程度に混雑していた。本当に地方の公共交通機関は、老人と学生しか見ないよなぁ。

高崎到着は16時59分。湘南新宿ライとは14分の接続で、今日は完全無計画のわりに電車運は悪くない。駅弁とグリーン券を買って、国府津行きの電車に乗り込む。

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秋の日はつるべ落としで、高崎駅を発車したころにはだいぶ景色は暗くなっていた。高崎で買った「上州舞茸弁当」(1,230円)を開封。舞茸ご飯、天ぷら、佃煮風など、名産の舞茸で作り上げたこだわりの一品、温かい味がする。

所要2時間弱の新宿で下車、今日発売のCDを買って帰宅する。大宮付近からは記憶も途切れ途切れで、長時間の乗車でお尻が痛くなった(笑

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日帰り関東圏だったけど、意外に旅気分を味わえた今日一日。夏休あと2日あるけど、さぁ何に時間を使おうかな。


タイムスケジュール
10:22~11:05 上野→高崎「とき315号」
11:23~12:00 高崎→上州富岡上信電鉄線)
12:00~12:15 上州富岡駅富岡製糸場
14:40~14:55 富岡製糸場上州富岡駅
15:05~15:11 上州富岡→上州一ノ宮(上信電鉄線)
15:15~15:25 上州一ノ宮駅一之宮貫前神社
15:40~15:50 一之宮貫前神社上州一ノ宮駅
16:15~16:59 上州一ノ宮→高崎(上信電鉄線)
17:13~19:07 高崎→新宿(湘南新宿ライン


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