山陰 松江再訪と世界遺産の旅(2013/2/9~11)その3(終)

3日目 松江→東京

連泊なので、昨日と似たような感じで。

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10時チェックアウト。荷物を駅のロッカーに預け、16時1分「やくも24号」の発車時刻まで松江市内を歩くことにする。天候は曇り時々雪、しかも風が強く冷たい…。

さて。松江城などの史跡を有する観光の中心は、駅とは大橋川を挟んだ北側に位置している。武家屋敷のある景観地区や、その他観光施設の多くは松江城を中心に立地しており、徒歩での観光に適した町と言える。

松江駅を後に、南西に向かう線路と離れ県道を西へ向かうと、15分ほどで宍道湖に突き当たる。ここは白潟公園として整備され、「嫁ヶ島」や「夕陽」など、宍道湖の著名なビューポイントになっている。

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大橋川を跨ぎ新旧市街を結ぶ宍道湖大橋も、橋の中央には展望用のテラスが設置され、観光客が餌を与えるのだろうか、たくさんの水鳥が集まっていた。しかし、今日はあいにく強風に雪まじりの天気…追われるように足早に通過する。

旧市街の西端に位置する松江しんじ湖温泉駅へ。一畑電車というローカル私鉄のターミナルで、16年前「松江温泉駅」時代に訪れている。その時は、一畑薬師出雲大社へのアクセスとして利用したが、今日はとりあえず暖を取ろうと…(笑

あれから駅舎も現代的に建て替えられ、電車も西武線のお古から京王線のお古に代わっていたが、かつて京王線を通学で利用していたこともあり、これはこれで懐かしい。駅そばにある木造2階建の一畑電気鉄道本社もいい味を出している。

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手のかじかみが軽減されたところで(苦笑)、駅を出て松江城へ向かう。道中、堀をめぐらした城下町の佇まいに、舞い降りる雪の風情がたまらない。そんな雪も、松江城に近づいた11時半ごろには青空がのぞくまでに回復していた。

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松江城は1611年の築。昭和の大改修を経てはいるが、木造の天守が現存する貴重なもの。入場すると内部は薄暗いが、最上階から松江市街の眺望は素晴らしい。400年前の主も同じ風景を見たのかな…と、しばし想像を膨らませる。

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天守の内部はもちろんバリアフリー設備などはなく、急な階段でお年寄りが難儀している姿も見られた。しかし、鉄筋コンクリート造の城があまりにも多い中、古の労苦を感じながら登頂する天守の方が、旅人の記憶に残るのではなかろうか。

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松江城を北へ抜け、城山稲荷神社から堀川沿いを。16年前も、たぶん同じ道を歩いた。堀川は船遊びで賑わっていたが、この寒いのに…とも思う(笑 松江城と景観地区に挟まれた堀川の風景が、松江観光のひとつのハイライトだろう。

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小泉八雲記念館から小泉八雲旧居、武家屋敷へ。松江城からここまで、共通入場券を利用できる。小泉八雲旧居は、小さいながら趣向を凝らした日本庭園を持つ。六畳間の真ん中に正座すると、三方向の窓から色とりどりの自然が控えめに訴えかけてくるようだ。

松江古来の史跡は小規模なものが多いが、未だ人が暮らしているような姿で保存されており、当時の人々の想いが伝わってくるような感覚がある。鉄道が市内まで来なかったこと、空襲を免れたこと、都市化の波に晒されなかったこと、いろんな偶然があると思う。

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時計も14時をまわり、そろそろ駅へ向かおうとした矢先。再び舞い始めた小雪が、突如横殴りの大雪に変わる…。駅までまだ遠いため、予定にはなかった「松江歴史館」で雪宿り。この施設は、確か16年前にはなかった。

偶然に入館した歴史館だったが、この施設が思いのほか秀逸。旧市街の模型や実物資料を中心とした展示は迫力があるし、休憩ができる無料エリアはビジターセンターとしての機能も果たす。館内は案の定、雪宿りの人々で賑わっていた。

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あまり時間の余裕がなく、駆け足になってしまったのが残念。最後に真新しいトイレも借りつつ(苦笑)、雪が小降りとなったのを見定めて15時過ぎに歴史館を後にする。松江駅への道中の市街地は空洞化が進み、他の地方都市と変わらない問題は当然あるようだ。

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2.3kmを23分で歩いて松江駅着。ここから岡山までJRで、バスで岡山空港に移動し飛行機で帰京の予定だったものの(ANAのプレミアムクラスに乗りたくてこうなった)、改札には何故か人だかりができている。テレビも来てるし…。

どうやら、この期に及んで人身事故らしい。乗る予定の「やくも24号」は58分遅れで16時59分発に変更、その前後の「やくも」は運休という単線区間らしい大胆な運転整理。…は、飛行機間に合うの? いや、帰れるの?

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とりあえず携帯から飛行機はキャンセル。機内食が楽しみだっただけに残念だな…。それから窓口に並んで、岡 山から新幹線の指定席を取る。取れたものの、3人がけの真ん中の席っていうのは苦しいなあ…。

三日連続の一文字家で「およぎ牛弁当」を買って、松江で抑止中の「やくも24号」にとりあえず乗車。前後の「やくも」の乗客も含め、車内は座れない人が通路まで溢れている。1時間遅れながら、指定席を持った列車が生きただけ幸運だったかもしれない。

予定どおり17時ごろ松江を発車。通路の人はほとんど岡山まで3時間弱立ちっぱなしだから、かわいそうだよね…。申し訳なく思いながらも、「およぎ牛弁当」を食す。調味料まで地のものにこだわったという、それだけで嬉しいお弁当だ。

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列車は中国山地を越え、すっかり日の暮れた19時40分ごろ岡山着。窓口で新幹線の指定席をグリーン席に変更してもらう。20時9分発「のぞみ62号」東京行き。島根県ゆるキャラしまねっこ」の人形焼をつまみに、島根ワインで晩酌。

品川駅到着は23時25分。新幹線の中でも寝なかったし、思いのほか疲れはないな。いつもの通勤電車に乗り換えて、帰宅はちょうど24時ごろ。明日の仕事を心配しなきゃいけないというのは、ちっぽけでちょっと淋しい。

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16年前に訪れて以来ずっと再訪を期していた松江の町は、記憶の中の松江の町そのものだった。初日もがんばって観光すべきだったかなとも思うけど、ゆっくり時間を浪費して、時には人情にも触れて、みたいなのが島根の旅なのかも。

いいとこだよ、島根・松江。小泉八雲が魅了された気持もわかる。ただ、そんな彼も最後は東京に越してるんだけどね。


この旅の記録