島根 ゆったり、やくもの旅(2017/9/20~23)その3
2日目 出雲大社(2/2)
出雲大社からほど近い「出雲の國 麺家」。
一応出雲そばが本業なのかな? その場で「ぐるナビ」を検索、清潔感のある店内とカウンター席が決め手となって、ここにしてみた。観光地の食堂なんて期待しちゃいけないものだけど、スイーツ(笑)な客層を意識するとレベルは上がるよね。
肝心の島根産にこだわったメニューはと言うと…。
ごはんに卵焼きを乗せてその上にラーメンという「縁結びどんぶり」(880円)が気になるものの、ぱっと来てこれを頼むのはハードルが高い(笑 一番人気らしい「スサノオラーメン」(大盛り980円)と、この暑さなので昼間っからビールを頼んでみる。
凍りついたジョッキと、店員さんの愛想の良さも加点要素。
何が「スサノオ」かって、この蒲鉾製の剣…だけなのか?(笑 味噌をベースに酒粕の甘みが効いたスープと細麺との絡みは個性的で、好みは分かれるかもだけど普通においしい。こんど来る機会があったら、「縁結びどんぶり」頼んでもいいかなぁとか思う(笑
それから和菓子屋「彩雲堂」に寄って、「抹茶フラッペ」(250円)を飲み歩き。抹茶本来のすっきりとした甘みが生きていて、これは掛け値なしにおいしいな。
往きに気になっていた「島根県立古代出雲歴史博物館」(入館料610円)は、この神門通りから少し下ったところに立地する。2007年に開館したまだ歴史の浅い施設で、湿地を埋め立てた広大な敷地に、贅沢な平屋建ての建物がちょっと日本じゃない雰囲気。
博物館の展示自体は、出土品や模型を中心としたオーソドックスな内容かな。撮影可なのが嬉しいところで、観光客はまず古代出雲大社の模型をカメラに収めることになる。竹馬に乗った個性的な本殿の姿、その高さは現在の倍の48mほどもあったという。
古代の出土品を並べる博物館は没個性になりがちで、特色を出すのに難しいところがあると思う。そんな中で、これほど大量の銅鐸に銅剣が並んでいる風景は他になく、古代史に特に興味がなくてもこれには圧倒される。
あとは、寛文期の出雲大社の模型とか、こういう箱庭系は好き(笑 自分が実際に歩いて見てきた「現在」と比較して、変わったもの変わらないものに思いを巡らすのは楽しい。ただ自分の嗜好が近現代につき、いまいち感想が薄いのは申し訳ない(笑
そして博物館の庭には、出雲大社でも見かけたこの子たちが鎮座していた…(笑
「因幡の白兎」は、皮を剥がれた兎を大国主大神が助けたという古事だけど、まさか兎も後世になって、こんなかわいらしいマスコットになろうとは思いもしなかっただろう。白兎神社、白兎海岸は隣の鳥取県だけど、いつかそっちも行ってみたい。
今日は最後にもうひとつだけ、訪ねたい場所があるのだ。
明るい参道には戻らず、博物館を後に堀川沿いの道を歩く。出雲大社は出雲平野の北西端付近に位置していて、日本海にもほど近いところにある。そんなため、傾き始めた日射しの下、川の流れはゆったりとしている。
途中、一畑電車の踏切から、出雲大社前駅方面を望遠で狙ってみる。左側のホームに保存されている旧型電車、ここに初めてきた20年前は、まだあんなのが走っていたんだよ。
川沿いの道はすぐに神門通りと合流し、ここからは面白みのない一本道となる。これから訪れる旧国鉄大社駅が元気だったころは、この道沿いにもたくさんの商店が軒を連ねていたはず。今となってはもう、見る影もないが。
旧国鉄がこの地に乗り入れる際に、当時の参道沿いの商店の反対から、駅は出雲大社からやや離れた位置に立地せざるを得なかった。ただ駅の北側には「境土手」という神領地と松江藩領地との境界もあって、駅は神領地の手前に止まったとも言える。
いい加減歩き疲れたころ、駅とは思えない豪奢な建築物がその姿を現した。
旧国鉄大社駅。現在保存されている駅舎は、開業から12年後の1924年に完成したもの。かつては参拝客のため、東京や大阪から直行便が発着していたこの駅も、時代の流れには逆らえず、1990年の大社線廃止とともに駅としての役割を終えた。
平屋建ての内部は天井が高く、30個の和風シャンデリアは大正モダンの香りを感じる。貴賓の利用を想定して待合室は二等と一般の二つに分かれ、これは昭和初期まで使い分けていたという。
すっかり草生した駅構内には蒸気機関車が放置気味に置かれているが、そこに観光客の姿はなく、近所の子ども達が遊ぶ声だけが響いていた。
17時58分発の川跡行きに乗って、往きとは逆のルートで松江しんじ湖温泉に戻ったのは、夜のとばりがすっかり落ちた19時ちょうどだった。時間も遅かったので松江駅までバスで出て、駅ナカの出雲そば「奥出雲 大橋」を今夜の食事処とする。
「駅の大衆食堂」といった風情のこの店。頼んだのは松江名物と銘打たれた「おどん」(980円)で、まぁ見た目そのまんまかなぁ…(笑 松江おでんは4年前となんだか定義が変わっていて、飛魚出汁に緑の野菜が添えられるのが特徴だとか。
うどんにおでんを重ねた「おどん」を出す店も市内に何軒かあって、どこもゆず胡椒がつくらしい。ほんと名物とは、言った者勝ちだ。
松江駅ビル「シャミネ」は2015年の改装以来、チェーンの居酒屋でも地元の食材を前面に出して、地元客と観光客双方への対応力を強めた。鉄道を利用する人がもう多くはない中で、町の中心としての「駅」のこれが新しい形なんだと思う。
ホテルに戻って、21時半からは「夜鳴きそば」でドーミーインらしさを堪能。考えてみれば朝から、そば→ラーメン→うどん→ラーメンなんだけど(笑
今日はちょっと歩き疲れたかな…。一通り荷造りを終えてから、24時ごろ就寝。明日は松江で迎える最後の朝、お気にの道を歩きに行こう。
これがちょうど20年前、1997年3月17日の出雲大社前駅。ホームも電車も、えらい味があるな。
タイムスケジュール(2日目)
8:30~9:00 朝食「HATAGO」
9:30~10:10 宿泊先→松江しんじ湖温泉駅
10:41~11:29 松江しんじ湖温泉→川跡(一畑電車)
11:31~11:42 川跡→出雲大社前(一畑電車)
11:50~12:00 出雲大社前駅→出雲大社正門(二の鳥居)
12:20 三の鳥居
12:25 四の鳥居
12:40 本殿
13:05 神楽殿
14:10 出雲大社正門(二の鳥居)
14:15~14:50 昼食「出雲の國 麺家」
14:55 「彩雲堂」
15:00~15:10 神門通り→古代出雲歴史博物館
16:30~16:55 古代出雲歴史博物館→旧国鉄大社駅
17:10~17:20 旧国鉄大社駅→出雲大社前駅
17:58~18:09 出雲大社前→川跡(一畑電車)
18:11~19:00 川跡→松江しんじ湖温泉(一畑電車)
19:00~19:16 松江しんじ湖温泉駅→松江駅(松江市営バス)
19:20~19:55 夕食「奥出雲 大橋」
21:35~21:50 夜鳴きそば「HATAGO」
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