島根 ゆったり、やくもの旅(2017/9/20~23)その2

2日目 出雲大社(1/2)

6時半ごろ起床。身支度を整えてから、8時半ごろ1階のレストランへ。奥のカウンターで出雲そばを受け取って、あとは和洋食必要最小限の料理が並ぶセミバイキングの形式。クロワッサンがあるのは合格点だけど、全体で見るとやっぱ寂しいな。

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部屋にコーヒーを持ち帰りしばし寛いでから、9時半ごろ外出。昨日どんよりとした雲は晴れ、青空が広がる松江の町はじりじりする暑さ。

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松江温泉方面へ北に歩を進めると、やがて市街を南北に隔てる大橋川に突き当たる。ここには東側から、くにびき大橋、新大橋、松江大橋、宍道湖大橋と4つの「大橋」が架かっており、これを渡った先が碁盤の目状に区切られたかつての侍町になる。

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松江城は、そのお堀の多くが現在に至るまで維持されており、町並みに広がりと落ち着きを与えている。

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ふと見上げると、緑に抱かれた松江城が足元の生活を見下ろして。

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東京はすっかり秋の虫に変わったけれど、松江の町にはまだまだ蝉時雨が降り注ぐ。

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一畑電車松江しんじ湖温泉駅は、そんな侍町の南西端、宍道湖のほとりにある。2001年に建て替えられた駅舎は、小規模ながらガラス張りの都会的な佇まい。それまでは1928年に「北松江駅」として開業した当時の駅舎を、手を入れながら使っていた。

20年前に初めて訪れたときは旧駅舎だったはずなんだけど、あんま記憶がないなぁ…。

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売店にずらっと並んだ電車グッズを一瞥したあと、往復だけで元が取れるフリー乗車券(1,500円)を買って改札をくぐる。かつては西武電車のお古なんかが走っていたこの路線だけど、その後事故や不祥事もあって、現在は公的資金の導入で体質改善が進んでいる。

とは言え、この電車とて京王のお古を魔改造したものらしいが。

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10時41分、松江しんじ湖温泉を発車。電車は途中の一畑口あたりまで、左手に宍道湖を眺めながら走る。

この路線は一畑薬師への参拝輸送を目的に、1914年から段階的に路線を開業した一畑軽便鉄道を端緒とする。しかし、乗客減少による経営悪化はここも例外ではなく、1972年には早くも廃止騒動に発展した。ただ今日は多くの中学生が乗り合わせ、車内はそれなりの賑わい。

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途中、一畑口駅で進行方向が変わる。20年前はここからバスで一畑薬師へ往復したものだけど、今日はタイミングがあわなかったため残念ながらスルー。戦前はこの先まで線路が延びていたが、戦時供出で撤去されたきり、復活することなく廃線となった。

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一畑口から線路は内陸に入り、築地松の点在する農村風景の中を行く。途中、川跡(かわと)で大社線の電車に乗り換え、終点出雲大社前到着は11時42分。

出雲大社の参道に突き当たる形で立地するこの駅は、1930年の開業当時からの駅舎が残る。小規模ながらモダンで凝った意匠を持つ洋風建築だったが、2012年にカフェレストランを併設するなど大改修が行われ、現代的な感覚がプラスされている。

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駅を出て右手を見ると、手の届きそうな距離に出雲大社の鳥居が見えるという軽快アクセス。近年流行りのパワースポットらしく、短い参道には若い女性を狙ったスイーツな(笑)店が並び、由緒ある神社ながら他には見られない違和感がある(笑

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坂を上っていくと車道はすぐに終わり、三叉路で「二の鳥居」に突き当たる。

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道を渡って鳥居をくぐると、平日の午前中ということもあってあたりは静けさが漂っていた。鳥居を境に上りから下りへと転じる「下り参道」は、祭神の大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)が「地底の神」であることに由来するとも言われる、全国的に珍しいもの。

参道は「三の鳥居」で境内を流れる小川を渡ると、再び上り坂となり「四の鳥居」へと続く。

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出雲大社の創建については、まさに神話の世界の話であり一言で語るのは容易ではない。瑞穂の国を築いた大国主大神の宮殿として、天照大御神高天原の諸神に命じて造らせた…とか、この時点でもう理解のスケールを超えた壮大すぎる物語だ。

四の鳥居をくぐった先には、火災による焼失から1959年に再建された拝殿の姿。

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本殿はその後ろに、隠れるように鎮座している。とは言えその印象は遠近法によるところが大きく、1744年竣工という木造建築は、拝殿の倍の約24mという神社としては破格の高さを誇る。「空高く」というのは、大国主大神がここで国を護るにあたっての条件だった。

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来月の10月は、出雲で言うところの「神在月」。八百万の神々が出雲の国に集まるためこの名があるが、空に描かれた幾筋の雲は、天空を舞う神々の軌跡に見えまいか。

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本殿を取り囲んで、境内には様々な社が鎮座する。その中でなんだかんだ人気の的になっているのが、各所に配置された46体のウサギの像。「因幡の素兎」の故事にちなんだものではあるんだけど、善行寺の牛とは違ってかわいすぎる感がある(笑

女子達が記念撮影をするその奥に、素戔鳴尊(すさのおのみこと)を祀る素鵞社(そがのやしろ)という、超重要物件が見えているのだが…。

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魔除けの弓矢を買って、あとは御朱印が、4月の吉野以来久しぶりに増えた。出雲大社では御朱印に「定価」を決めておらず、相場の300円を鑑みて500円置いていく人が多い。財布を開けて小銭がない場合、お釣りを出すとは言うがさてどうしたものかと…。

橿原神宮もそうだったけど、有名どころはシンプルだよね。

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本殿の西側、荒垣外に位置する神楽殿は、1873年に当時の出雲大社宮司が布教を目的として創設したもので、今の建物は1981年に建て替えられたもの。総重量5tの大注連縄は、前庭の掲揚台に掲げられる日章旗とともに、日本有数の規模という。

こちらも本殿とは別に、御朱印が用意されている。こんどは小銭を確認してから…(笑

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本当はもっと、紹介しないといけないお社が沢山ある気はするんだけど…。出雲大社はその歴史故、それなりの予習をしてから参拝しないと勿体ない。何気なく据えられた摂社や末社の一つひとつが、遠く神代からの生き証人なんだもん。

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時計は14時を回っていた。早めに戻って宍道湖の夕日を撮りに行くプランもあったけど、今日はもう少しこの辺で遊んでいこうかな。この足元に広がる、スイーツな町で(笑

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