函館・松前 過去と未来を紡ぐ旅(2015/5/15~19)その5

3日目 松前(2/2)

海岸線の国道で市街地をパスし、道道を右折する。丘を上り切ったところに、それはあっさりと見つかった。

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廃線から27年が経過した、松前線の終点松前駅。ありがちな交通公園や記念碑はなく、駅施設が撤去され、線路敷は道路に転用されている中で、現役当時からの「北海道最南端の町」の石碑だけがぽつんと佇んでいる。

一方、駅周辺にはいろいろと痕跡が残されていた。駅を出て左手にあった、観光案内所と大きなコンクリートの観光案内板は、一種異様な存在感を放つ。

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観光案内所は地元消防団の資材置き場に転用されているが、それを示す木札ももはや色あせ、流れた歳月の長さを感じさせる。

正面にあった「三久駅前食堂」は、「サンキュウコンサルティング」と業態を変えつつも存続中。三久食堂自体は本店が中心街にあって、観光客向けに海鮮たっぷりの名物「松前浜ちゃんぽん」を提供しているそう。

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駅裏手の道路沿いには住宅が建設され、また「さくらまつり」へのアプローチとなっているため車や自転車の往来があり、時に子ども達の明るい声が聞こえる。駅どうこうじゃなくて、こうやって町が町として生きている姿にほっとするのだ。

駅前から見渡す津軽海峡の風景は、季節の違いこそあれあの頃と変わらず…。

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海岸線の国道に戻り、この4月に新装オープンしたばかりの「道の駅北前船松前」へ。お目当ては施設の大部分を占めるレストラン「北前食堂」で、特に海鮮系のメニューの充実ぶりには目を見張る。

「大漁くん丼」(2,500円)をオーダー。「大漁くん」が松前ご当地キャラクターだということは、東京に帰ってから知った(笑 窓の外には北前船が往来した津軽海峡が広がり、松前に来たんだという実感が湧いてくる。

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松前産の生うにやアワビなどの海鮮が盛りだくさんの「大漁くん丼」。具材の種類や量はもちろん、盛り付けがきれいで見た目もおいしそう。丼から飛び出した具材のおかげで、どうやってお米を食べようか悩んでしまう(笑

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施設内には見学可能な生け簀があって、そこから掬っているんなら新鮮なのは当たり前。昨日から海鮮続きだったけど、これは本当にごちそうさまでした(笑

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道の駅を後に再び丘を上り、「さくらまつり」の会場へ。規制のため少し離れた武家屋敷駐車場に車を停め、松前公園までは徒歩での移動。時刻は15時半を回り、屋台をはじめ「まつり」は既に撤収態勢に入っていた。

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ここ松前の市街地は大松前川、小松前川それぞれが刻んだ谷底に発達した。松前城は二つの河川に挟まれた高台に築かれており、地形的な防御のない山側は寺院や武家屋敷を置くことで、外敵に対する障壁とした。

そんな寺町は鬱蒼とした緑の中にある。路傍にはお墓ばかりが続くものの、新緑から透ける木漏れ日とか、年月の中で倒れ苔むした墓石とか、500年の歴史を感じさせる光景だ。

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駐車場から10分ほどで松前公園へ。「さくらまつり」開催中ながら、桜は想像以上にまばらかな…。聞くと2月に暖かい日が続いて開花が早かったらしく、「こひつじと桜」を撮りたかった向きにはちょっと残念。

ところどころに残る葉桜と、松前城天守を絡めて。

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松前」の語源は、アイヌ語のマト・マエ(婦人の居るところ)と言われている。アイヌ人の目には、和人の女性が珍しかったようだ。14世紀ごろから和人による支配が始まるが、不満を募らせたアイヌ人が蜂起し、100年に及ぶ戦乱が始まる。

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そんな時代の勝者となった後の松前氏の手により、1606年に松前城が築城された。その後火災による焼失を経て、現在の天守は1961年に再建されたもの。

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天守の内部は松前城資料館として有料で公開されており、展示物にそれほど目を見張るものはないが、狭い格子の隙間からは辛うじて津軽海峡が見渡せる。

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松前の桜は、松前に移った商人や藩主の奥方たちが、ふるさとを偲んで植えたものと伝えられている。この藩政時代からの古木が、今も城内に残っているとか。

時刻はもう16時半。傾いてきた陽射しの下、葉桜のトンネルを駐車場へと引き返す。

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これが正真正銘、今年最後の桜かな。

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最後に松前駅跡に別れを告げ、海岸線の国道を函館へと走る。途中もう一度、旧松前線の櫃の下川橋梁を訪問。27年前、この橋を渡る汽車で松前を訪れた。

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暮れなずむ函館山を右手に眺めながら、函館駅到着は19時前。予定外の暴風に体力を奪われたので、今夜はホテルでのんびりと過ごそう…。

構内の駅弁屋「みかど」は開いていたものの、カウンターに商品がない…。聞いたところ「『いかわっぱ』が一つ残っている」とのことだったので、昨日のいかめしが脳裏をかすめたものの止む無く購入…(笑

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函館国際ホテルにチェックイン。二年前に宿泊して、いつか連泊したいと思っていた。用意された部屋は西館8階のツインルーム。部屋はとても広く、大きな窓からは羊蹄丸をはじめ函館港の夜景が一望できる。

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そして「いかわっぱ」(950円)…。まぁ見たとおりと言うか、昨夜のいかめしが再来した気分だ(笑 イカの中にはご飯ではなくゲソが詰まっていて、濃い目の味付けでとても柔らかく煮詰められていた。

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夜半になって、吹き荒れる風も少し落ち着いてきたかな…。25時ごろ就寝。それにしてもお腹いっぱいで、耳からイカが出てきそうだ…(笑


タイムスケジュール(3日目)
8:50~9:30 朝食「四季」
10:00 チェックアウト
10:15~10:45 函館駅上磯駅
10:55~11:20 上磯駅トラピスト修道院
12:10~13:40 トラピスト修道院→白神岬
13:45~14:05 白神岬→松前駅跡
14:15~14:30 松前駅跡→道の駅北前船松前
14:40~15:15 昼食「北前食堂」
15:25~15:30 道の駅北前船松前→さくらまつり駐車場
15:55~16:15 松前城資料館
16:40~18:50 さくらまつり駐車場→函館駅
19:10 チェックイン「函館国際ホテル」


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