函館・松前 過去と未来を紡ぐ旅(2015/5/15~19)その3
2日目 青森→函館(2/2)
函館駅前から5分ほど、系統の分かれる十字街で市電を降りる。
ここまで来ると函館山が間近に迫り、落ち着いた雰囲気へと変わってくる。しかし開港の時代は、「函館」と言えばこのエリアのことだった。そんな歴史が街並みに溶け込んでいる、それが函館元町の風景という気がする。
1923年築の旧丸井今井百貨店函館支店。百貨店が五稜郭に移転した後も、市の交流センターとして函館山の麓に変わらず佇んでいる。
元町界隈は港から真っ直ぐ山に上る坂道と、それに直交する平坦な道とで碁盤目状に区画されている。坂にはそれぞれ名前がつけられているが、中でも有名なのが十字街から4ブロックほど行ったところにある八幡坂。
かつて函館八幡宮があったことからその名が付いたというこの坂。振り返り眺める函館港は、何度来ても真っ先に挨拶したくなる風景だ。
八幡坂から一本挟んで平行する、基坂へ。坂を上り切ったところにある元町公園は、かつて函館奉行所が置かれるなど行政の中心だった。坂下には函館本道の道路元標が置かれ、そこから基坂と名付けられたという。
街角にはまだ桜の花が残っている一方で、元町公園ではツツジが満開に。北の大地も、着実に次の季節へと移ろい変わっている。
元町公園のさらに上に位置する、旧函館区公会堂へ。1910年築のこの建物は、青と黄の鮮やかな外観をはじめ、130坪の大広間や貴賓室など、往時の雰囲気をよく留めている。
函館山の斜面に広がる建物群は、函館港を見渡す北側を向いているものが多い。そのため外光は木々の緑に反射して、優しい光となって「裏側」の窓から差し込んでくる。
館内では観光客向けにレトロなドレスや燕尾服を貸し出しており、不意に扉の向こうから着飾った男女が姿を現すと、まるで大正の時代にタイムスリップしたよう。
北向きの窓と順光の函館港。これが、函館の街が美しく見えるひとつのカラクリなのだ。
公会堂から基坂を少し下り、途中にある旧イギリス領事館へ。
イギリス領事館の歴史は、1859年に称名寺の中に開かれた仮領事館まで遡る。現在の建物は1913年に落成したものだが、その間実に3度も火災による焼失を経験した。海に挟まれ風の強い函館の街は、当時火災の恰好の標的だった。
シーズンオフの函館は、相対的に韓国からの団体客と、道内中学校からの修学旅行生が目立つ。なかなか落ち着かないので、追いつかれないよう急いで回るのか、のんびりやり過ごすのか、この後もいろんなところで判断を迫られた(笑
記念撮影用のティーセット、ここぞとばかり小人たちが登場…。
館内には英国調に設えられたカフェやショップも用意されており、のんびり英国気分を味わうこともできる。一昨年の夏に買った二階建てバスは、実は10年以上のロングセラー。
16時を前に陽も傾き、さすがに肌寒くなってきた。最後にキリスト教会の集まる大三坂周辺を歩いて、今日は山を下りることにしよう。
大三坂という名前は、かつて坂の入口に大三という家印の郷宿があったことに由来する。からこの名になった。その坂を上り切ったところにあるのが、函館ハリストス正教会。再建から99年が経過した白亜の聖堂は、このエリアを代表する景観だ。
しかしこの斜面も市街化が進んでいるのだろうか、立ち並ぶ住宅で函館港とのツーショットも撮りにくくなった。
この教会と函館聖ヨハネ教会との間の坂道は、「チャチャ登り」と呼ばれている。これはアイヌ語で「おじいさんが腰を屈めて歩く様」とのことで、なるほど階段にしてもおかしくないほどの急な坂道が続いている。
チャチャ登りを下ったところにあるカトリック元町教会は、1924年に再建された直線的なゴシック様式の聖堂を持つ。敷地には樹齢52年の鬱金桜も植えられ、桜の時期には日欧合作の美しい風景が見られるはずだ。
坂を下り海峡通りを渡ると、すぐに道は港に突き当たる。右に折れた先にある金森赤レンガ倉庫群は、1869年に開業した金森森屋洋物店を起源とする歴史的建造物。ただ内部は通常の商業施設に改装されており、今回もさらっと通過する(笑
夕暮れを迎え函館山の山肌も、だんだんと影が目立つようになってきた。
十字街から市電に乗って函館駅前へ。棒二森屋百貨店の無印で旅行中の衣類を買ったあと、催事場で開催中の「東北・道南味覚まつり」を覗いてみる。
かわいそうなぐらい閑散とした催事場で、1個増量で投げ売り状態の「森のいかめし」(520円)を購入(笑 夕食はホテルで予約してるけど、海鮮丼だけではお腹が空くだろうから夜食用に…と考えていた。この時は。
駅で荷物を回収して、18時半ごろロワジールホテル函館にチェックイン。夕食つきプランのため、19時に2階のレストラン「喜来里」へと下りる。まぁ海鮮丼だけではお腹が空くだろうからって…え?(笑
海鮮丼、いか沖漬け、氷頭なます、がごめ昆布、いか唐揚げ、アスパラ浅漬け、エビ・カニ天麩羅、茶碗蒸し、香の物、味噌汁
丼が小さいわけではなく、お盆が巨大なんだよね…。ご飯の上にはイクラが贅沢に散りばめられ、マグロなど魚も身が厚く存在感がある。あと茶碗蒸しがシンプルですごくおいしかったりして、おすすめの芋焼酎「赤兎馬」とあわせ満足できる夕食だった。
そして部屋に戻って、いかめし3匹を見たときの絶望感と言おうか…(笑 2匹までなら何とかなりそうだけど、サービスでつけてくれた3匹目が重いなぁ(汗
テレビを観たりのんびり過ごして、25時ごろ就寝。明日は晴れたら、松前に行こう。
タイムスケジュール(2日目)
9:25 チェックアウト
9:35 A-FACTORY
9:45 青森桟橋跡(可動橋)
10:05 青森駅
10:31~12:22 青森→函館「スーパー白鳥1号」
13:20~13:35 昼食「鳳蘭」
13:50~13:55 函館駅前→十字街
14:00 八幡坂
14:20~14:50 旧函館区公会堂
14:55~15:25 旧イギリス領事館
15:35 函館ハリストス正教会
15:45 チャチャ登り
15:50 元町カトリック教会
16:05 金森赤レンガ倉庫群
16:20~16:25 十字街→函館駅前
17:15~18:30 棒二森屋
18:35 チェックイン「ロワジールホテル函館」
19:05~19:50 夕食「喜来里」
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