道東・道北 原点の旅(2007/8/23~26)その2

2日目 釧路→網走

起床は7時ごろ、釧路の空はキョウモハレ。

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9時ごろチェックアウト。市街地の渋滞を抜け、釧路湿原へと摩周国道を上っていく。若緑の木々に囲まれた清々しい快走路から、「細岡展望台」を示す標識に従い町道を左折する。

サイクリングロードを兼ねた2車線道路も進むにつれ先細り、農道のような1.5車線のダートへと変わっていく。道中、しばらくは釧網本線の線路が平行し、傍らを単行列車が追い越していく。

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緑の中を少し上ったところにある細岡ビジターズラウンジに車を止め、とりあえず釧路湿原駅方面へと坂を下る。駅近くには「みん宿&コーヒーのーむ」という唯一の人家があって、6年前に訪れたとき三叉路に立てられた「あと170ポ」という看板が印象に残っていた。

看板は刷新されていたけれど、「のーむ」自体は未だ健在のようだった。

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そして、その傍らには、記憶の中の看板が色あせ朽ちながらも同じ場所に留まっていた。

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ちなみにこれが、2001年8月31日の立ち姿。

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看板の前を左手に折れ、しばし緑のトンネルを進むと、正面にログハウス風の釧路湿原駅が現れる。1988年に開業した、湿原にほど近いまぁ観光駅だ。

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駅前からは展望台への軽い山道が用意されており、夏の虫を追い払いながら汗を滲ませ登っていく。やがて先程の車道に合流し、もう少し上がると細岡展望台へと通ずる小道が口を開けている。

6年前は残念な大雨だった細岡展望台、今日はすっきり青空に恵まれて。蛇行する釧路川と若緑の湿原は広大で、この程度の高さからだと何とも掴みどころがない。「山手線の内側2個分の面積」と言われてもピンと来なくて、できれば鳥のように空から見下ろしたい風景だ。

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実は6年前はこの湿原で道に迷い、大雨の中ガソリンも乏しく心細い思いをした。いつしかレンタカーにもカーナビ装備され、そんな経験もいい思い出となったけれど。

虫の声が響く木陰は清々しい。どこ見てもまぁ、似たような写真しか撮れないんだけど…(笑

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ビジターズラウンジに戻って車を拾い、摩周国道に出て再び網走方面へと北上する。山中に続く国道の沿道には、塘路湖をはじめいくつかの湖沼が点在している。

その中のひとつシラルトロ湖は、海の後退により生成された海跡湖。周辺にはロッジ等の施設を備えた小集落がある一方で、観光用の木道が腐敗していたり元店舗だろう廃屋が見られるなど、この放置っぷりも雄大な北海道らしいと思ってしまう…(笑

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だってこれぐらいの風景が、そこら中にあるんだよ?

釧網本線標茶駅に立ち寄ってから、道道を折れ北東に針路を取る。小さな分水嶺を一つ越えると、風景は標茶岳を背景にした根釧台地のそれ変わっていく。格子状の防風林が整備された酪農地帯に、いつか社会科で教わった「パイロットファーム」という言葉を思い出す。

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その名も「パイロット国道」から「釧標国道」に入りしばらく走ると、いよいよ道路は最果ての海、オホーツクに突き当たる。その先にうっすらと浮かぶのは、国後島だろうか。

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三叉路を右折すると、北海道から鬚のように飛び出した野付半島の入口までは10kmほど。しかし「半島」という名の砂嘴の延長は30kmにも及び、砂の上の一本道は先端付近のネイチャセンターまで脇目も振らず延々と続いていく…。

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駐車場に車を入れ、原生花園の遊歩道をトドワラへと歩く。

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道は人ひとりすれ違うのも窮屈な幅で、並行する未舗装道を馬車が通過すると、舞い上がった土埃から逃れる術もない(笑 ふと振り向いた青空の下には、湿原とネイチャーセンターと…いつもの喩えだけど、大草原の小さな家という風情で。

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先端付近のトドワラには木道が整備されているが、やはり一部が朽ちていた…(笑

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立ち枯れたトドマツが荒涼とした風景を作り出すトドワラだけど、次第に風化し湿原との同化が始まっている。それどころか、野付半島自体が浸食による消失が危惧されているといい…釧路湿原の草原化もそうだけど、どれも自然の摂理ならば抗う必要はないと思う。

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立ち枯れたトドマツがなくっても、こんなとこ北海道にしかないよねぇ。

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野付半島を後に、オホーツク海岸の国道を北上する。知床半島に入ると道路は地形にあわせ、斜面の中腹に上ったり集落に下ったりをダイナミックに繰り返しながら続く。

昼食目当ての「道の駅知床・らうす」到着は15時5分、しかし食堂は15時終了という今日も食いっぱぐれモード…(笑 山の向こうに一縷の望みをかけ、知床横断道路を峠越えの行程に入る。

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さすがにシーズンとあって観光バスの姿も多く、道路脇に現れたエゾシカに観光客が黄色い声を上げたりだとか。このあたり、自然の中に人が立ち入っていると捉えるべきか。

峠の最高所に整備された駐車場は、麓の青空に対しどんよりモードで。知床峠の標高は700mを超え、初夏まで残雪が見られるほか、この峠を境に南と北とでがらっと天候が変わることも珍しくないそうだ。

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峠をウトロ側へと下りると、再び青空が広がった。知床五湖までの距離はわずかながら、ここから駐車場待ちの渋滞が始まる。2005年の世界遺産登録から2年経過したこの時期が、観光客数では「黄金時代の終わり」とも言える時期だった。

20分ほど待って入った駐車場からは、五湖を周遊する遊歩道が延びていた。

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知床五湖は、1980年代ごろ整備された比較的新しい観光地。遊歩道は五湖を巡る90分ほどのコースや、二湖のみの40分のコースが用意され、知床半島の背骨に連なる山々を背景に天然色の風景を楽しむことができる。

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今日は時間切れもあり入門編の二湖コースで…。知床半島は平地が極端に少ない地形ゆえ、開拓の手から漏れ自然が今に継承されてきた。登山に興味はないしクマもこわいけど、いつかまた時間を取って来たいなぁ。

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遊歩道の脇には、悠々と草を食むエゾシカの姿も。しかしエゾシカの増加により、食害による環境破壊が起きているというから自然のバランスって難しい。

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時刻はもう17時…。傾いてきた陽射しの中、今日の宿泊地、網走を目指すことにする。

知床半島の北側には、降り注いだ雨が最後に海に落ちていく、たくさんの滝が生成されている。どこも観光客で賑わっていたけれど、まぁここも次回な感じで…(笑 知床半島を抜け再び酪農の風景が広がると、夕暮れとの戦いが始まる。

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網走の手前、オホーツク海と濤沸湖に挟まれた細長い砂丘にある、小清水原生花園。夏の間たくさんの花に彩られるこの地も、窓を開けた瞬間に虫の大群に取り囲まれあえなく退散…(笑 ここも次回、明るいうちに来ることにしようね…。

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網走駅到着は19時前。小さいころ写真で見たニポポ像の公衆電話を期待したものの、いつからかクリオネをデザインしたものに変わっていた。人影もなくひっそりとした網走駅、残された列車は区間運転の3本だけ。

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駅からほど近い、網走川ほとりの北海ホテルにチェックイン。今日は食いっぱぐれ防止に、かにめし付きプランにしていたのが功を奏した(笑 ズワイガニのほぐし身がたっぷり乗ったごはんは、全体的にほんのりと甘い素朴な味。ふわふわの身は雪が積もったような…。

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網走は旧網走支庁所在地ではあるものの、市街はオホーツクに面したごく一部で湖水の占める割合が大きい。隣接する北見市に規模では大きく水を開けられており、駅から繁華街が離れていることもあるんだろうけど、夜の水面はとっても静かだ。

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24時ごろ就寝。明日は最果ての地を目指す。


タイムスケジュール(2日目)
9:00 チェックアウト
9:10~9:45 宿泊先→細岡ビジターズラウンジ
9:55 釧路湿原
10:05 細岡展望台
10:20~10:40 細岡ビジターズラウンジ→シラルトロ湖
10:45~11:00 シラルトロ湖標茶
11:05~12:45 標茶駅~野付半島ネイチャーセンター
14:30~15:05 野付半島ネイチャーセンター→道の駅知床らうす
15:10~15:30 道の駅知床らうす→知床峠
15:35~16:05 知床峠知床五湖
16:46~17:10 知床五湖→三段の滝
17:15~17:20 三段の滝→オシンコシンの滝
17:25~18:20 オシンコシンの滝小清水原生花園
18:25~18:40 小清水原生花園→網走駅
18:45~18:50 網走駅→宿泊先
18:55 チェックイン「北海ホテル」


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