函館・松前 過去と未来を紡ぐ旅(2015/5/15~19)その8(終)

5日目 函館→東京

昨夜の天気予報が当たったな…。今日の函館は外出を控えたいぐらいの暴風雨。

函館最後の朝は7時過ぎに起床、8時半ごろ東館「アゼリア」へ。最後まで「松前」の和定食と迷ったけれど、折衷案として?和食中心バイキングで行く方向に。イクラたっぷりの海鮮丼、十勝豚丼に朝カレーと、この朝食は相当に重いよなぁ…(笑

イメージ 1

テイクアウトのコーヒーを片手に部屋へ戻り、荷物を整理しつつのんびりと過ごす。この天候でどこに行こうかと、窓際では動物会議開催中…。

イメージ 2

11時前にチェックアウト。外に出るとやはり風雨は強く、車までの僅かな距離で濡れ鼠になってしまった。

昨日までと打って変わって車内に暖房を効かせながら、最後に軽く元町を走ってみる。昨日会った中学生たちが歩いているけれど、ちょっと今日の天候はかわいそうだな。雨の八幡坂から、摩周丸に別れを告げる。

イメージ 3

そして函館空港方面へ。ただまだ時間があるので、空港の先の戸井、恵山方面をとりあえず目的地に置く。海岸沿いの国道を走ると、しばし強風にハンドルを取られたり…。

空港のすぐ東側で国道は汐泊川を渡る。そこでふと左に視線を飛ばすと、そこには黒ずんだ4本の橋脚が。一昨日にも似たような光景を見ている気はするけれど、今日はそれとは正反対の東側。こんな風景が、国道沿いの道中に点在する。

イメージ 4

ネット上では有名は話だけれど、かつて五稜郭と戸井の間には旧国鉄「戸井線」の計画があった。主に戸井町に要塞を設置するという軍事的な目的の下1937年に着工されたが、資材不足のため1943年に工事を中断、9割方完成した路盤は放棄された。

国道が旧戸井町域に差しかかると、地形はひときわ険しさを増す。汐首岬突端に近い汐首灯台の直下には、斜面を渡る6連のアーチ橋が残されている。

イメージ 5

橋は一部が既に崩壊しており、破壊面を見るとどうも鉄筋の気配が感じられない。落石防護の対策は取られているものの、その下に住む人々は生きた心地がしないだろう。

イメージ 6

岬を回るとやや小ぶりなアーチ橋が姿を見せるが、こちらはコンクリートの剥落防止対策や手すりの設置がなされており、観光向けに整備されている。橋上に上がる階段も設置されているが、さすがにこの風雨の中では、得るものが小さすぎる(笑

イメージ 7

国道はトンネルでいくつかの岬を越え、旧恵山町域に入る。多少なりとも天候が回復することを祈ってきたけれど、このぐらいでもう限界かな…。

大潤漁港のイカ釣り漁船、ここを旅の最終到達地としようかね。

イメージ 8

来た道を戻っても面白くないので、帰りは海岸沿いの旧道を行く。

乗用車同士のすれ違いも困難な隘路だけど、ここがバス通りとなっているのは驚きだ。恐る恐る進んで行くと、本当にカーブの先からバスが現れ数十メートル後退する羽目に…。

イメージ 9

集落を抜けた道路は悪天候時に閉鎖されるゲートをくぐり、黒い奇岩のそそり立つ景色の中へ切り込んでいく。こんな道路がバス通りとして存続していることが、にわかには信じがたい。

それでも黒い岩の上に、ツツジの花が見えるのがご愛嬌か。

イメージ 10

波の浸食から辛うじて守られた道路の先には、黒く口を開けたパイプ状の工作物が…。

イメージ 11

「日浦7号トンネル終点」って、こんなのが7個も続くのかよ…(笑 道幅はきっちり1車線につき、このあたり対向車が来たらと気が気ではなかった。

イメージ 12

やがて旧道は現国道に合流し、あとは空港まで淡々とした道のり。雨は小降りになったものの、相変わらず強風は容赦なく吹き付ける。何度か車外に出ようとしたものの、風にドアごと持って行かれそうになりあえなく断念…。

空港近くのエネオスで給油して、ニッポンレンタカーへの返車は13時半ごろ。空港とは目と鼻の先だけど、風が苦手なため(笑)ここはバスで送ってもらう。

イメージ 13

空港に入るといきなり別世界で、ほっとすると同時に、もう半分東京に足を突っ込んだような寂しさを憶える。お土産を扱う売店自体は数も多く充実しているものの、「一人分ずつ小箱に入った気の利いたお菓子」という条件だとなかなか見つからない。

最終的に荷物を預け、搭乗口到着は出発の30分前。ラウンジが工事で閉鎖されていたため、売店でビールを買って待合席で一服…。サンドイッチはお腹が空いたわけじゃなく、明日まで持つので状況を見て食べようと。

イメージ 14

15時50分発羽田行き、ANA556便に搭乗。飛行機は雨の中を離陸するとすぐ低い雲を抜け、あとは東京までほぼ雲海の上を飛んでいく。

イメージ 15

ANAプレミアムクラス、食事時を外して乗ったのは初めてかな。「Premium SABO」と銘打った茶菓子と軽食が提供されるけど、本格的な食事と比べるとやはり格落ち感は否めない。気になるお品書きはこんな。

チキンとカリカリ梅のタルタルサンドウィッチ、3色ピーマンとイタリアンソーセージのデニッシュ、ズッキーニと筍のソテー カレー風味、ニシンのマリネ ライムの香り、白玉とクリーミーなチーズケーキ ラズベリーソース添え

イメージ 16

スイーツは最近よく見かけるようになったルタオ製、しかしチーズケーキが見事に軽食と被っている(笑

今日は雲が多く、安定飛行の時間はごくごく短い。白波を立てるような雲海に、高い雲がまた影を落とす。光と影が作り出す、この幻想的な世界…。

イメージ 17

空から見下ろす集落の一つひとつには、人々の暮らしがあって。

イメージ 18

やがて飛行機は高度を落とし、曇り空の東京湾上空へ。眼下にディズニーリゾートと葛西海浜公園が姿を見せると、羽田空港まではあとほんのわずか。

イメージ 19

着陸した飛行機がようやく足を止めたのは、定時から15分遅れの18時半ごろ。到着便でバス利用は初めてなので、この光景はなかなかの違和感だ。でも羽田の場合、ターミナルを延々と歩かされるより近い感じもする。

イメージ 20

荷物を受け取ってからリムジンバスのカウンターを覗くと、大井町行きのバスがもう5分で出るところ。急ぎチケットを買って、駆け込み気味に乗車する。大井町での電車の乗り継ぎもよく、予想より早く19時半には帰宅する。

明日から普通に出勤のため、あたふたとお土産品の整理を開始。カリーヌードルとロースカツサンドは自分用、職場には抹茶味が出た「美冬」とバタサンを一つずつでいいかな…とか。

イメージ 21

旅に出る意味みたいのを考えていた。旅先で見るもの、経験するものはいつも新鮮でそれが自分の糧となっていく。違う世界を見ることが、また明日から始まる戦いへの勇気になるような気がするんだ。一つひとつの悩みなんて、ほんと小さなものなんだって。

27年間思い続けた松前には行けたけど、いろんな意味で旅はまだまだ終わらない。


タイムスケジュール(5日目)
8:40~9:20 朝食「アゼリア」
10:55 チェックアウト
11:00~11:10 宿泊先→函館元町
11:35 汐泊川橋脚群
12:00 戸井線5連アーチ橋
12:50 大潤漁港
13:00~13:10 旧国道奇岩区間
13:30 函館空港
13:45 函館空港
15:50~18:30 函館→羽田「ANA556便」(到着遅れ)
18:45~19:15 羽田空港大井町駅


この旅の記録