不時に舞う桜と吉野(2017/4/15~16)その5(終)

2日目 橿原・吉野→東京(3/3)

奥千本の桜は残念ながら開花前。こひつじを撮るには上千本までは人が多すぎ、ようやく人が切れると寂しい風景で…。この写真ひとつ撮るにも、結構な斜面を下らなきゃいけなかったりで、吉野の桜はなかなか簡単には近づかせてくれないのだ。

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こぴよもついてきてくれてありがとう。

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帰り道は下り坂主体ながら、疲れた膝にはこの下りこそ堪える…(笑 吉野駅まで直線距離でも5kmはあって、帰りの列車まで2時間半というのはわりと厳しい。

往きにスルーした高城山展望台に頑張って登ってみるも、桜の「木」に囲まれているだけ残念な状況で…。

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上千本まで下りてくると、ただでさえ激しかった人波が、午後になって一層勢いを増したよう。いちばんのビュースポットだったヘアピンカーブは、人と車が入り混じってのまさに大混乱中…。そこを文字どおりかき分けて、とにかく下山を急ぐ。

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ヘアピンを降り切ったあたりで脇道に外れ、如意輪寺に降りる散策道に入る。賑やかな参道とは谷を挟んだ対岸にあたる道で、往きに眺めた「萌える斜面」の中を歩くことになる。

正面の尾根上には、金峯山寺蔵王堂が…遠いなぁ。

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道は狭いものの遮る家屋がないため、眺めはこちらの方がずっといい。めくるめく桜の、洪水のような…。

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桜の代名詞ともなっているソメイヨシノは、「ヨシノ」を名乗っているが吉野の桜とは関係のない、観賞用に作られた交雑品種。その真っ白に咲き誇る姿と比べ、開花とともに赤茶けた葉が出る吉野の山桜は見た目では劣る。

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しかし、悠久の時間に育まれてきた3万本の桜には、世の趨勢に動じない確かな強さを感じたりしないだろうか。

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花は桜木、人は武士、柱は桧、魚は鯛、小袖はもみじ、花はみよしの。

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険しかった斜面が一瞬の隙を見せ、こひつじと桜が同じファインダーに収まったのは、唯一ここだけだった。

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山裾近くに立地する如意輪寺にて、今日7つ目、昨日の橿原神宮とあわせこの旅8つ目の御朱印をいただく。住職(?)が御朱印帳をめくりながら、金峯神社と仲が良いだとか話してくれるんだけど、いかんせん自分のヒアリング能力の低さが残念だ(笑

本堂の背後には後醍醐天皇陵があり、そちらの御朱印も用意されている。

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お参りもそこそこに山を下りて、駅への道を急ぐ。道は吉野川支流の谷底に続いていて、ふと斜面を見上げると、そこでも桜たちが見送ってくれていた。

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相変わらず長蛇の列のロープウェイ乗り場を左手に見ながら、吉野駅に戻ったのは15時半ごろ。駅前は相変わらず座る場所もない状態で、水分補強しようと自販機を見ると全て売り切れという状況がすごい。

駅前の売店でお土産を物色…。葛餅は外せないし、あとは後腐れなくお菓子系(←表現)で。

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駅前の混乱から逃れるように改札を抜けると、満席の乗客が見守る中いかにも旧型然とした近鉄特急が入線してきた。清掃スタッフが頭を下げて迎える絵がなんかいい。

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特急は16時4分に吉野駅を発車。吉野線内は停車駅も多く、いかにものんびりと走っていく。橿原神宮前で京都行き特急に乗り換える10分の間に、ロッカーに預けてあった荷物を回収する。このへん、有料特急のネットワークが充実しているのが近鉄の特徴。

予約の際に余裕のあった京都行きも満席の大盛況。とりあえず、これですかね。

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京都到着は17時51分。新幹線改札内売店で、今晩のお弁当探し。とは言うものの、時間がやや遅いためか京都っぽい駅弁は姿を消している。若干エリアを広げて近江牛のお弁当と、せめて京都っぽいビールを買ってホームに上がる。

18時12分発「のぞみ180号」に乗車、おしぼりサービスの通過を待って、「近江牛大入飯」(1,100円)を開封する。

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まずは、ご飯の上のたっぷりな近江牛。冷えてはいるけれど、固くなりもせず食べやすくてすごくおいしい。そして「なんで?」と思ったカレーご飯も、薄めの味付けで牛肉と程よくあっている。これは案外、計算されたお弁当。

2日間動き回ったから、ちょっと疲れたかな…。車販のコーヒーで口直しをしつつ、20時23分品川に到着する。

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代々木、練馬と乗換え帰宅は22時ごろ。自分としては早起きの週末だったので、翌週は疲労と睡眠不足が抜けず仕事に支障をきたした(笑

吉野のお土産は、「吉野葛入りくずもち」(450円)、「吉野いしい」の季節限定「さくらの本葛餅」(648円)、あとは普通のお菓子屋さん?の「桜花ブッセ」と「さくらケーキ」を。こひつじの前にあるのは橿原神宮のお御朱印帳。

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特筆すべきは、断然「さくらの本葛餅」で。吉野本葛の上に淡い桜色の餡が乗って、その中に塩漬けの桜葉が泳いでいる。見た目もさることながら、ほのかな桜の香りが絶妙の素晴らしい一品だった。あとの洋菓子系はまぁ、正直いまいちだったなぁ…(笑


この日記のタイトル「不時に舞う桜と吉野」は、2年ほど前にハマっていたアプリ漫画「赤松佳乃の複雑な恋の事情」からの、ほぼ完全なパクりだったりする。不遇な最期を遂げたその作品だけど、最終回あたりで吉野の桜が語られていて、それ以来ずっと頭に引っかかっていたのだ。

旅のきっかけなんていい加減なもので、でもきっかけってそんなもんじゃない、とも思う。狭い日本とは言うけれど、見たいものはまだまだ沢山あるよ。


タイムスケジュール(2日目)
7:30~8:00 朝食「甘樫」
8:15~8:20 橿原ロイヤルホテル→橿原神宮前
8:30~9:22 橿原神宮前→吉野(近鉄
9:30~10:10 吉野駅金峯山寺蔵王
10:30~10:40 金峯山寺蔵王堂→吉水神社
11:10~11:20 吉水神社→桜本坊
11:45~12:35 桜本坊吉野水分神社
12:45~13:10 吉野水分神社金峯山寺
13:15~13:20 金峯山寺義経隠れ塔
13:25~13:40 義経隠れ塔→高城山展望台
13:45~14:50 高城山展望台→如意輪寺
15:05~15:30 如意輪寺→吉野駅
16:04~16:43 吉野→橿原神宮前近鉄特急)
16:53~17:51 橿原神宮前→京都(近鉄特急)
18:12~20:23 京都→品川「のぞみ180号」


この旅の記録